刻印の製造表

 

 
 

VFU(フライブルグ共同時計製造会社)

Ender & Co (1865~)
Germania (1871~)
Boelch & Jackel (1871~)
Willmann & Co (1872~)
Sabarth (1873~)
Heize & Co (1874~)
Concordia (1881~)
Kappel & Co (1882~)
Borrusia (1888~)
Carl Boehm (1895~)
Victoria (1899~)

Gustav Becker
グスタフ・ベッカー 1847年~1930年

 

グスタフ・ベッカーは、”アンティーク柱時計の”ロールスロイス” ”One of the better(最良の一つ)”と賞されるほど過去現在で最上級の評価を受けている時計メーカーです。

グスタフ・ベッカー(Gustav Becker, 1819-1885)は、1819年にドイツに生まれ時計職人を目指します。 ドイツ・オーストリア・スイスの時計メーカーを転々とし修行を経て、1847年 バーデン=ヴュルテンベルク州 フライブルグに工房(現在のポーランド、シュフィエボジツェ)を設立。 特に1800~1850年頃の時計製造技術の中心であったウィーンでの経験がグスタフ・ベッカーというブランドを築く動機になりました。
当初は資金難であまり多くの時計を作ることはできませんでしたが、1852年のシレジア貿易博覧会で金賞を受賞したことでベッカーの時計が大衆に認知され、さらに技術への信頼も得ることができ、大きな発展を遂げる足がかりとなりました。 後に、このときの金賞のマークと有名な碇のマークがトレードマークになります。(下記参照)
1850年代、公社との大口契約や富豪からの融資を受けたおかげで時計の生産は拡大していきました。
1860年代、それ以前のシンプルな振り子時計から豪華な手彫りの装飾があるケースに高品質な機械をのせた高級時計を作るようになりました。 グスタフ・ベッカーの時計は、ロンドン・パリ・シドニー・ベルリン・メルボルン・アムステルダムなど各国各都市の博覧会にも出品され、多くの賞を勝ち取ったことも記録されています。
1873年、ウィーン国際博覧会でも金賞を受賞。 その頃にはヨ ーロッパのヴィエナク・ロックの草分け的存在となっており、時の権力者のステータスとして所望されるほど時計の一流ブランドに発展しています。
1880年代になると、ドイツのシュバルツバルトの“黒い森”勢(時計メーカー)との激しい競争を強いられるようになりました。 当時、シュバルツバルトにはゼンマイを使ったシンプルかつ安価な時計を作る工場が増えていました。 そのため高価な時計は売り上げが激減し、ベッカーもこれに対抗するためゼンマイ式の機械とシンプルなケースの時計を製造し始めました。 ますます競争が“黒い森”勢との競争の中で生き残りを図るため、1899年シレジアの幾つかの時計会社と共にグスタフ・ベッカーが中心となったVereinigte Freiburger Uhrenfabriken AktiengesellschaAG(VFU、フライブルグ共同時計製造会社)を設立しました。 VFUには時計会社や家具メーカーがありました。(下記参照)
1880~90年代のグスタフ・ベッカーには希に背面に六芒星の中央にAの文字の印を見ることがあります。 これはアドルフ・シュテルン(Adolf Stern)という会社の印で、ケースをグスタフ・ベッカーに提供していました。 アドルフ・シュテルンはカール・ヴェルナーにもケースを供給していたことがあるようです。
上述の共同時計製造会社では大小様々な時計を製造しましたが、1925~26年に財務面で克服できないほどの厳しさに直面することになり、1926年7月にユンハンス、ハンブルグアメリカンと共に再び企業連合を設立しました。 この企業連合も1930年にユンハンスに買収されることになり、これでグスタフ・ベッカーが会社としてなくなります。 これ以降もグスタフ・ベッカーのブランドは残りますが、1939年 第2次世界大戦への突入と共に無くなりました。

 

グスタフベッカー製造年表

Year Serial
1850 480
1860 4000
1863 10,000
1865 15,000
1867 25,000
1872 50,000
1875 100,000
1880 260,000
1885 500,000
1890 800,000
1892 1,000,000
1900 1,500,000
1913 1,850,000
1923 1,860,000
1925 1,945,399
1926 2,244,868
1927-1935 不詳
 

グスタフベッカーの特徴

まさにKING of Vienna Clock (ヴィエナクロックの王様)に君臨するメーカーで、グスタフベッカー無くしてヴィエナクロックは語れません。 ”黒い森”勢(Brack Forest Clock)に圧される1880年までの特注品に、現在の収集の人気が集中している傾向ですが、後期になっても特注品のハイクォリティーを別ラインで製造していますので、良品が数多く存在しています。 良質な木材を使うので、オリジナルの木製ケースで保存状態が良く現存していることが多いです。 今まで、数百本のヴィエナクロックを日本のコレクターさんにお届けしてきましたが、やはりグスタフベッカーの時計は私にとっても特別な存在で、"One of the better"(最良の一つ)に相応しいメーカーだと思います。








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