風防職人の減少 ~ 衰退していく日本

風防職人の減少 ~ 衰退していく日本

2023年8月29日
日々のこと

🦌「意地張ってないで頼むから値上げしてください。ウチも円安と日本経済の衰退で大変だったのでとうとう基本料金(分解掃除)を値上げしたんです。いまでは海外からの依頼も増えたし、ウチも多少の値上げなら耐えられるし、風防職人をもっと世の中に知ってもらうためにもSNSとかHPとかやってくださいよ。」

🧓「いや、もうオレも歳食って指先も若いときほど動かなくなったし、オレの代で辞めると決めたし。春日さんのアドバイスで留学してた娘も、お陰様でスイスの良い時計メーカーに就職してくれたし。親父の代からこの仕事してきて、時計修理屋さんが10分の1以下になって先も見えないし。」

🦌「…」

🧓「道具譲るからさ、春日さん自分で作ったら良いよ。基本のスクエア、ラウンドならウチに仕事回す前は自分で作ってたんでしょ? 変形のトノウとかは施工マニュアル作ってあげるから。」

近年の世界的な高級腕時計ブームの中で、日本だけは時計技師の事業者の数は減り続けているという事実。要は時計販売店は増えたけど、「街の時計修理屋さん」を見かけなくなったと感じることはありませんか?

ヨーロッパ全体での物価高のせいもあるとはいえ、スイスの時計学校を出て、そのままスイスの時計メーカーに就職すると、初任給で日本の約3~5倍もある。

そう、もう海外で就職したほうが収入が良いので、日本に帰ってこないんです。職人に成果報酬を払いたくない日本から、技術者が国外に流出してしまい、事業継承できない。これが日本の時計業界の懐事情であり、時計技師の事業者が少ない最たる理由です。

円安とデフレで、給料30年上がってないのが日本だけっていう事実を日本政府がやっと認め動き出し国民も認識し始めたけど、今後失った30年を取り戻すのに、どれだけ苦しむのか想像に耐え難い。

そんなことよりも、とうとう風防まで自分で作らないといけなくなった。正直、A&Oの事業で時計にまつわる収入は年々上がってます。状況を知りもせず、これに危機感を感じない浅はかな連中からは、「独占は儲かる」「羨ましい」って悲しい言葉が返ってくる…

0.1mmの世界を目や機器に頼らず、触っただけの感覚で見極め仕上げられる、そこが職人と素人の違い。そんな人の仕事は早いのに、跡取り残さず去っていくいまの日本をどうにかしたい。価値ある仕事を値切った分、自分の評価を下げ、自分の収入を下げる。このブーメランにそろそろ気付いて、僕たちはどうすべきか本気で考え取り組まないといけない😞