好きなことを仕事にするのではなくて、始めた仕事に誇りを持って続けていくうちに好きになる仕事だってある。

好きなことを仕事にするのではなくて、始めた仕事に誇りを持って続けていくうちに好きになる仕事だってある。

2019年9月26日
日々のこと

今日のはちょっと、長いです。でも僕のこと少しでも知ってくれている人には読んでもらいたい。

今の僕に対する評価ですが、僕がいつも楽しそうにしてるからなのか、自分の好きなことやりたい仕事をしてこうなったって絵に書いた餅みたく羨ましかられがちだけと、全然そうじゃない。
高校卒業前にバブル経済が弾けて、まともに雇ってもらえない時代。もともとが自由奔放な性格で就職に向いてない上に、なりたいと思ったパイロットの道は資格まで取れたのはいいものの就職難で途中で挫折。
他にやりたかったことはなかったし、今では世界的な大会社に成長したシアトルのスターバックス本社採用を無為に断ったのがきっかけで大学のゼミを村八分にされて、逃げるように日本へ帰ってきた。唯一自分のスキルで事業を起こせそうだったのが学生のアルバイトで身に着けていた時計修理の技術くらい。

下関の文化度でアンティーク時計の事業一本のみでやっていくのは難しいだろうということで、食いつなぐつもりでアンティーク全般に裾野を広げ、都市圏の業者向け輸入卸し売りで小さいSOHOから始めました。ダメならいつでも辞められるという後ろ向きなスタートです。

故郷に戻って成功してやろうなんて大きな野望も夢もなかったし、都会暮らしが合わない性格というだけで地元のご飯と自然環境が合っていただけで下関に居てました。

お店を持とうと自分で思ったというより、所在地不定の商売ではいずれ行き詰まると感じてたのか、いきなり「お店持とう!!」と、当時付き合っていた今の嫁に迫られたことがきっかけでした。僕の志向が強すぎて売れ残っていった商品が倉庫で飽和状態だったこともあり…

どうせなら今持ってる能力全てを吐き出した凄いお店を建ててやろう!って故郷の下関に勢いだけでお店を建てました。
着々とIT化されていく時代の流れは感じていて、お店を持って3年以内にインターネット販売事業を起動に乗せられなかったら保たないだろうと。ただでさえ個性派は否定されやすい日本文化で生き残れない、そういう危機感はひしひし感じていたし、退路の無い状態で出店でした。

オープン当初、広告も打たずに口コミで沢山の方が来店されてアンティーク家具を主に買って頂いた。でも、消費サイクルの長いアンティーク家具は一巡して落ち着いてしまうと急に売れなくなってしまう。日本のアンティークショップは皆それで失敗して廃業に追い込まれてるから同じ轍を踏むのだけは避けたい。
だから最初の2年は、売り上げの殆どを、高価なアンティーク腕時計の仕入れと足りなかった時計修理の工具の買い込みに転嫁させていった。なので、お金がまったく残らなかった。笑

当初、オンラインショップのWeb構築を任せていた業者に騙されて代表者にお金を持ち逃げされました。そこで働いていた女性従業員の実兄とは、意気投合して仲良くなり変な関係ですが。笑

話を戻して…

当時の下関で高度なシステムを構築出来る業者を他に知らず、もう自分の力で作るしかなかった。お店が終わった後、毎晩、徹夜が続いて疲労困憊でした。
そんな中で媒体を少しずつ時計に切り替えていかないといけなかったし、アンティークもだんだんと高級品寄りに価格帯を上げていったので、当初のラインナップを好きで売り上げで助けてもらっていたお客さんには申し訳なかったし今でも感謝してます。

で、オンラインショップ構築中で一番キツかった時に、よく喫茶を利用してくれていたY氏が、

Y氏「船で釣りに行ってみませんか? ルアーで真鯛がよく釣れるんですよ〜 (ケータイ画像を見せて)ほら、タイラバって言う釣りでこんな感じ。笑」

仕事で気持ちがいっぱいいっぱいの時で、費用も掛かる道楽だし、くだらないと口には出さす丁重にお断りしました。

その夜だったか、小さい頃は釣りばかりしていた話を嫁にしたのかな…(よく覚えて無い)

Y氏とはその後、食事に誘って頂いただいたりする仲にはなっていて、数カ月後また釣りの誘いが…

Y氏「(画像をみせて)タイラバでまた釣れたんですよ〜 良い船長で友人が釣りキチだから手とり足取り教えてくれますよ。」

その時、

嫁 「行っておいでよ。たまには丸一日遊んでおいで。1日くらいお店は私達でなんとかなる。」

あの時、嫁が背中を押してなかったら、今こうして釣りしてなかっただろうな。

今でも最初に釣れた真鯛のアタリは、この手の感触に残っている。ヘタクソなやり取りで何回もバラしてやっと釣り上げた一匹でした。

嫁「楽しかった?」

「… 一日陽気でまったりした中で、いままでで一番楽しい釣りだった。こんな世界があるんだね。」

その後は、高価な道具を買い揃えて、仕事のタスクの中に無理くり釣りをねじ込んでは行くようになっていきました。まぁーハマったんです。笑

釣りに行きたい… 仕事をしないと行けない…天気とのタイミングで行けなかったりで、悶々としていく中で、この時から僕の中に新たな進化が生まれはじめる。業者に詐欺られて、途中から自分で作ってみたものの実績が伴っていなかったオンラインショップのテコ入れです。
僕が遊んでいるときでも僕並みに商品説明が出来て、高価な商品に似合った高画質な写真スキルの格好良いオンラインショップを真剣に作ってやろうと。

まぁ、遊びたい一心でした。お店を建てる時以来、人生で2度目のスイッチが入った。もともとが良いもの好き思考なので、高望みして海外の大会社のWebサイトばかり参考にしてました。でも、それが功を奏して、訳のわからなかったシステム言語とか、セキュリティ構築、SEO対策とか独学で勉強して、半年掛けてHPもオンラインショップも一新させました。

インターネットの効果が徐々に表れ始めると、全国都市圏に売り上げが伸びていったし、中央・地方とメディアの取材も増えていきました。オンラインショップのアクセスデータを可視化して分析していると、寒冷な地方と温暖な地方で消費動向に違いがあることにも気付いて、それを実店舗に反映させると相乗効果がさらに表れた。

オンラインショップの売り上げが実店舗の売り上げを超えたのはOPENして3年後。そして、釣りを初めて2年で年商が3倍近くになった。

気が付くと、定休日をキチンと休んで安心して遊びに出られるようになっていきました。

コーヒー屋K氏「ホラ、趣味が仕事を合理化させるんですよ。春日さん今度は北海道にフライ行きましょう!」

多少、結果論もありますが、僕の場合、大して好きでもなかったし自分に出来ることで仕事を始めて、少しずつ好きになっていく環境を整えていった、という評価が正しいって自己解釈してます。
今の僕の生き方が正解かどうか解らないけど、身の回りで人間関係や仕事に悩んでる人がいたら、

「好きなことを仕事にするのではなくて、始めた仕事に誇りを持って続けていくうちに好きになる仕事だってあるよ。」

僕は迷わずこの話をします。 おわり