「豪華客船にお金持ちは乗って来なかった~クルーズ船寄港地の憂鬱」 中村智彦研究室

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豪華客船にお金持ちは乗って来なかった~クルーズ船寄港地の憂鬱(中村智彦) - エキスパート - Yahoo!ニュース

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僕のお店がある城下町長府も同じ感じです。

博多港が豪華客船の受け入れがキャパオーバーなので、最寄りの下関の長州出島に寄港してバスでピストンのように博多に観光客を送っている。

それでも一旦、寄港した街の市内観光をさせるのは、ツアーリストへ行政からの指示があるからです。

「今あなたは日本のどこにいるか分かっていますか?」

長蛇の列を作り城下町長府を歩いてる豪華客船から送り込まれてきた観光客にこう問いかけたことがあります。 返ってきた答えは、「分からない、博多の近く。」でした。
寄港先がどういう街なのか大した説明もしてないないだろうし、連れ回される乗客は博多へ移動中のトイレ休憩で立ち寄った場所くらいにしか認識していない感じ。現地の日本人ボランティアガイドの声が虚しくこだましてます。

寄港前の豪華客船の中ではパッケージバスツアーリストが乗客に対して、「寄港先の街は高いから、提携先の免税店で買うのがお買い得ですよ~」とネガティブキャンペーンされているらしい。

たしかに、安く買いたいだけなら免税店がお買い得でしょう。でも今どき、免税店で売っている物が観光客にとって欲しいものかと問われると・・ 僕は旅行でも出張先でも免税店で買うことは先ず無い。

免税店というのは、地元でも消費されてる良質な商品が少ないし、おもてなしの要素を感じられないからです。せっかく生産者がまじめに作っている良質な商品があったとしても、売り場のスタッフにたいした知識も説明もありません。

ツアーリストが、そういう低質な旅行をエージェントしていては、いずれ豪華客船で行く旅の人気もたちまち廃れていくのが目に見えます。

「未だにサービス料を取られない飲食店が多い」「街にゴミが落ちてない」「親切に道案内してくれる(人情)」というような、日本の長所が消耗させられていくばかりです。

それは、客船に乗ってくる観光客が悪いのではなくて、守銭奴なエージェントに対して金銭の駆け引きに疎い地方行政側のネゴシエーション能力の低さ、勉強不足が問題だと思うのです。

この脈絡から、寄港先の街に魅力が無いのだから仕方ないだろうって思われるかもしれませんが、個人やフリープランのツアーでは普通に観光を楽しまれてる少数派の外国人観光客もいます。店内撮影するときは許可を取ろうとしますし、食べ残しも少ないし、英語ですが会計の時、旅の会話も楽しんでます。

城下町長府の個人観光客のマナーは世間で嫌がられる様な悪い人は今のところ少ないと感じます。うちのお店は、海外のブロガーやインスタグラマーなどで頻繁に紹介されてるらしく、若い層の外国人観光客がこのような交通アクセスの悪い店にわざわざ来店されて、喫茶を利用いただいていますよ。僕らからすると、話す言葉が違っても肌の色が違っても、お店を利用されるお客さんであることに変わりありません。同じ様に接するだけです。多言語化していく雰囲気が僕にとってはかえって心地良いくらいです。

世間でマナーが悪いとされる外国人観光客というのは、アーリーアダプター(先駆けて赴き発信する能力・感度を持った旅行開拓者)に感化され続いてくる旅慣れないリスナーたち(後続者)です。 行政がアーリーアダプターを取り込む戦略は既に実施されていて、取材協力を要請される機会も増えています。

旅の恥はかき捨てとさせないよう、どう訪日外国人旅行経済に向き合っていくのか? これから過去体験したことのない人口減少と経済縮小にどう向き合っていくのか? 外貨を獲得するしかないし、観光ビジネスが日本人の生き残る選択肢として大きく掲げられていることに、そろそろ認めないといけないタイミングまで来ています。