アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 『踊り子』 1920年 ドライポイント エッチング Henri Toulouse-Lautrec ベルネーム=ジューヌ版

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 『踊り子』 1920年 ドライポイント エッチング Henri Toulouse-Lautrec ベルネーム=ジューヌ版

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1920年代、ロートレック生前のグラビュール原板で最後に刷られたエディションです。これ以降は、石版リトグラフでマークが増えます。モチーフの踊り子は、ムーランルージュのダンサーでしょう。
エッチングの技法の中で最も古典的なドライポイントのみで彫りあげ複重板で刷り仕上げられています。ドライポイントのみでの陰影描写でもロートレックらしさを失わないのは、彼が元々アカデミーで基礎を修習していて線描の評価も高いことが大きいのだと思います。版元はベルネーム=ジューヌで、多くの印象派を囲っていたパリの名画廊。『ポスター芸術の先駆者』『イラストレーターの元祖』として、彼の代表作となったムーランルージュの作品群の深淵を覗える作品だと思います。

当時の画家たちの主流は油絵でしたが、描き上げても乾かすのに時間が掛かったり、たとえ絵が1枚売れたところで満足に食べていくことが出来なかった。なので銅版を削って複写する印刷・製本の技術を応用した作品作りで食い繋いだ。製本そのものを副職にしていた画家も多かった。後にこの複写技術から生まれる作品の芸術性が高まり、銅板画専門のアーティストも生まれました。ロートレックをはじめ、当時の印象派たちはその礎を作ったと言えます。

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