IWC Cal.85 オートマチック 修理依頼 時計修理

IWC Cal.85 オートマチック 修理依頼 時計修理

日々のこと

⌚今回はIWCの修理依頼。海外から交換する部品が届いたので取り掛かります。

このメーカーで初の自動巻機構となるCal.85搭載機。のちに大ヒットしたCal.853の親機となるキャリパーで、ペラトン式テンプとの相性を合わせるために試験的な部分も所々みられる興味深い時計ですね。

まず心臓部のテンプの天真が経年痩せしてるので新規作成。

クライアントより、「振るとカチャカチャした異音が気になる」ということで、原因は一つに絞ることが出来てませんが、自動巻き上げ機のクラッチレバーとストッパーが連動するときのバネ緩み、機止めネジの損傷 など全体からくる症状であり、このキャリパーの仕様だと思います。多分直しても使ってるうちにまた鳴り出す可能性が高い。精度的には問題無いし、バネ新規作成による高額も避けたいということで調整でやれるとこまでやってみます。

受石は、各パーツの潤滑を促すベアリング効果をしています。経年で摩耗して最終的に割れたりします。この不良を放っておくと互いの部品を削りあうため消耗が激しくなります。 このムーブメントは合計で21石入って、いくつかが経年摩耗で規格の厚みに足りていなかったり割れてしまってたり。この当時でルビー石は高価なタイプが使われている… まともに交換すると高額になってしまうので最小限の交換とローテーションで調整してみます。

時計修理は費用を掛けた分、綺麗になりますし精度や動作も安定します。でも、見積もりと相談しながら「どこまでやるか?」になることが多いですね。 機械式時計のことよくわからないけど、なんとなく話を聞いてみたいでも全然大丈夫。修理のことも、購入を検討されてる時計のこと、メーカーのこと、時計技師としてご相談承りますよ😘