四方山話 アンティークディーラーが日本の未来について考えてみた。

四方山話 アンティークディーラーが日本の未来について考えてみた。

2019年11月8日
日々のこと

海外オークション代行の仕事をしていて常々感じることがあります。 明治維新以降、日本の重要な文化財がここまで流出していたのかと。そして、それが海外での日本文化財の需要増と日本経済の衰退で、ここ数年さらに加速化している。

明治維新以降、政府が推し進めた神仏分離運動によって宮大工や金工細工師や絵描きなどは職を失い日本の技術産業は著しく衰退してしまいます。 そんな職人たちが食いつなぐために仕事を求めたのは、日本にビジネスを求め渡日してきたお雇い外国人を窓口にした海外富裕層たち。彼らをパトロンとして潤沢な支援のもと、超絶技巧な美術品がたくさん残され海外に流出していきました。

それも、日本が帝国主義で富国強兵の時代になると、お雇い外国人は肌の色が違うというだけで迫害され、ひどいときは一族で日本を追われるよう帰国を余儀なくされるケースまであったりと、外国人の支援によってかろうじて生きながらえてきた日本の職人文化は途絶えてしまいます。

今、日本人が誇張してる維持し続けてきたと思い込んでる、日本の手先の器用さを売りにした物作りというのは、日本人が残した功績ではないということです。

そんな勘違いの偉大さを誇張する無知な人間に対しては上記の理由も含めて、

「日本古来の文化・物作り(技巧的な特異能力を売りにした)は一度途絶えていますよ。それを終わらせたのは私たち日本人です。日本人の民度意識の衰退は明治時代からまったく止まっていませんよ。」

戦後、日本の経済発展は欧米のオキュパイド(植民地化・下請け)とシステム工業化によって築き上げられてきたもので、過去の物作りの素晴らしさ手仕事の素晴らしさとは全く違う尺度で築き上げられたものです。

反面、海外に流出した美術品を買い戻そうという鋭気溢れる日本人コレクターも増えつつあります。海外オークション代行の顧客は、そういう方が多い傾向です。日本人も未だ未だ捨てたもんじゃないな~と感心してしまうのです。

歴史をごっちゃにして、良いとこ取りに解釈し美徳化して、過去のミスも改めもせず、地域活性とか大儀な看板を掲げても成功しないって思うのです。 過去のミスをきちんと受け止めない人間に次のステップは約束されないということです。 日本全体が、それに気がつかなければ、日本人の生活水準は下がり続けてしまうばかりです。

 

日本経済新聞によると、NTT研究開発機関(日本最高峰の研究機関)では30代半ばまでの若いエンジニアの3割がGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)などに引き抜かれているそうです。

GAFAの日本法人への移籍を足掛かりにして、いずれは本社移動を志すというような立身出世を夢見る若い世代が増えている。努力して技術、知識、才能を得た若者なら当然の行動です。

このままいくと、有能な人材がどんどん海外に流出するでしょう。 そういう状況に近い将来、日本政府はレギュレーションを設けてくるでしょうね。 一定教育レベルを受けたないし、キャリアを積んだ有能な人材が海外に職場を求める場合、出国ビザの制限や高額費用負担を強いるなど暴挙だってあり得ます。

今後、単純作業はAIの人工知能で賄えるようになり、不足する人材は途上国から来る低賃金の外国人労働者で賄われるようになるでしょう。 そして日本人の中・低能力者は海外への出稼ぎ労働を強いられるようになります。 英語が出来ないから海外で働くのに無理がある? そんなのは今後のアプリケーション開発でどうにでもなりますし、単純作業に大した語学が必要とも思いませんし。 海外の人材市場で見つめると、最低でもトリリンガル(3カ国語)が普通です。それでも良い職にありつけない若者が多いのです。 いま、日本のコンビニで働いてる外国人店員は母国語の他に英語と日本語を話せています。これに脅威を感じてない日本人の若者が多すぎます。

そして、いま問題となっている大学受験の英語科目の民間委託化は、そのためでもあるのではないでしょうか。 日本はもう終わりだから、英語くらい覚えてとっとと海外に出稼ぎ労働で出ていってくれと言わんばかりです。

正当な評価を得られない有能なエンジニアに対して、見返りが少ない日本の劣悪な労働条件では今後も人材流出は防げないと思います。でも、それで良いと思います。

スポーツで例えるなら、野球やサッカーのトップ選手が海外移籍するようなもの。野茂英雄やイチローがアメリカ大リーグへ移籍してなかったら、三浦知良や中田英寿が海外リーグにチャレンジしてなかったら・・ 今の国内野球やサッカー人気はあり得なかったと思います。 日本の未来を変えるのは政治家ではなく、多言語多民族で競合共存している今の世界を自分の目で見て生き抜いてきた人間にしか出来ないと思うのです。

過疎化がさらに進むと、過疎地へのインフラは行き届かなくなり、自然と人口集中地への移住が促され、47都道府県という自治体の概念は大凡無くなり、単一化が進みます。日本のGDPは未だ世界3位ですが、高福祉国として認知されてるドイツ(4位)が日本より順位が低いなんてにわか信じられません。 統計の取り方は各国の行政機関に委ねられていると言いますので、実際、重い蓋を開けてみると何位なのか不安になります。 そして、少子化対策が進んでいない現状を鑑みても、今後順位の下落は避けられないと思います。

今後、地球温暖化が進めば、地震台風津波など自然災害多発地域に住む人は火災保険の値上げ・加入拒否もあり得ます。既に保険会社の事後処理がオーバーワークで対応出来なくなってきてます。加入者で支え合うことで成り立っていた保険のシステム構造が崩壊するのは時間の問題です。

関東地方はもともと殆どが湿地で、400年前、豊臣秀吉によって無理矢理国替えされた徳川家康が人が住めるよう干拓工事したような地盤の緩いエリアです。台風は地球温暖化で日本に近い場所で発生するようになり、勢力を保ったまま北上していきます。通り道になりやすい関東地方の被害の甚大さは自ずと予見できますし、今後人が住めなくなるのではないでしょうか。

インドネシアで経済発展が著しい首都ジャカルタは、海抜が低く30年後には地球温暖化で水没してしまうと言われています。 現在、遷都計画が進んでいるそうです。

今後、東京から首都機能を移転する計画だって浮上すれば、日本の未来がどうなるのか? もう一般人の僕では図り知れません。

山口県西部側、特に向津具半島は過去遡っても災害の少なさが日本一のレベル。遷都も構想としてはあり得ます。

プライスレスな災害が少ない環境を地域活性の売り文句にしない山口県の民度が不思議で仕方ない今日この頃なのです。