時を慈しむ、黄金色の叙事詩。
静謐な光を湛えたこのオメガは、単なる時計ではありません。それは、過ぎ去りし良き時代の「記憶の断片」を封じ込めた宝物です。
最大の魅力は、見る者の心を穏やかに解きほぐすアイボリー・クロスラインダイヤル。繊細な十字のラインが、無限に広がる水平線のように文字盤を引き締め、6時位置のスモールセコンドが、寄せては返す波のように優雅なリズムを刻みます。
ケースの中で静かに時を刻むのは、オメガの黄金期を支えたCal.491。19石の宝石を冠し、美しい赤銅色のメッキ仕上げが施されたこの自動巻きムーブメントは、職人の矜持を感じさせる工芸品の趣を湛えています。リューズを巻き、耳を澄ませば、数十年前から変わらぬ力強い鼓動が聞こえてくるはずです。
温かみのある18Kローズゴールドケースを纏い、エッジの効いたクサビ型インデックスと気品あるドルフィン針が、黄金色の空間に凛とした秩序を与えています。効率だけを求める現代から少し距離を置いて、贅沢な「空白」を愉しむ。あなたの腕元で、この時計とともに新しい物語を刻み始めてみませんか。
*オメガの至宝:Cal.491とその背景
オメガのムーブメント「Cal.491」は、1955年から1960年頃までのわずか約5年間のみ製造された希少な銘機です。このムーブメントは、時計史における重要な転換点を象徴しています。
- 全回転ローターの先駆け: それまでの自動巻きは、ローターが往復運動する「ハーフローター(バンパー式)」が主流でした。Cal.491は、現代の標準である360度全回転式ローターをいち早く採用した初期モデルのひとつです。
- 黄金期の設計思想: 名機と名高いCal.470やCal.500と同じファミリーに属し、その優れた設計は高級ライン「コンステレーション」へと受け継がれていきました。赤銅メッキによる耐久性と精度の高さは、当時のオメガの技術力の結晶です。
- 「赤銅メッキ」が語る品質: かつての真鍮製ムーブメントは、酸化による腐食が弱点でした。そこでオメガは、耐食性・耐磁性を高めるための保護膜として電解メッキを導入。特にこの時代のオメガは、あえて赤みを帯びた銅(カッパー)やピンクゴールドのメッキを施しました。これが、コレクターを魅了する「赤銅色」の正体です。銀色の鋼鉄パーツと地板のコントラストは、単なる美観だけでなく、メンテナンス時の視認性を高める実用性も兼ね備えていました。1970年代に生産効率を重視したロジウムメッキ(銀色)へ移行するまで続いたこの仕様は、オメガが一切の妥協を許さなかった「黄金期」の証として、今なお格別の存在感を放っています。
カテゴリー: オメガ社
制作期: 1955-60年
製法: Cal.491、18金無垢(ローズゴールド)、自動巻、19石、社外製クロコダイル本革ベルト(新品)、社外製バックル(GP)サイズ: 直径34mm(竜頭を含まず)


