アンティークオメガ トノウケース 風防交換 修理

アンティークオメガ トノウケース 風防交換 修理

2020年1月17日
日々のこと

🛠今回はオメガの1930年代のトノウケース修理。 風防が割れて傷も多くサイズも微妙に合っておらず隙間だらけ。以前、風防を交換した職人の腕が悪い典型的な例です。今回は接地面が湾曲した特殊ケースなので下請けに出して交換してもらいます。

腕時計の修理依頼の中でも多い風防の交換。落として割れてしまったり、擦り傷が多くなったり。

素材は無機ガラス、プラスチック、サファイヤガラス(クリスタルガラス)、さらに強化タイプでグレードも様々ですし特殊な形状は削って作成することも。価格は安い物で15000円~が目安。高級腕時計メーカーの純正(サファイヤガラス)ともなると10万円超えるものもありますし、費用を抑えてアフターマーケット(社外製の共有・互換性のある部品)を使用する場合もあります。

僕らの時計技術者の世界にも、風防屋とよばれる風防に特化した専門の職人が存在します。純正部品を調達できなかったり、微妙な調整・加工が必要なときや、特殊な形状の作り込みは彼らのようなエキスパートの職人に依頼します。A&Oの下請け職人さんは常備数十万点の風防と未加工素材を抱えていますので大凡の風防交換は対応できるかと思います。

風防だけでなく、歯車の作成が長けた職人、受石の加工調整に長けた職人、ゼンマイの加工・調整ができる職人、テンプのチラシネジのバランス調整が巧い職人、ケースの肉盛り溶接・ロウ付けに長けた職人、文字盤の再生ができる職人・・ 時計修理の中でも、技術が細分化され棲み分けされ互いが仕事を振り分けあって助け合ってギルドが形成されてます。 特に下請けに位置する人たちが食べていけるように、仕事を切れさせず恒久的にコストを安定させるためにも、消費者と直接関わり合うショップの責任は大きいと思います。