心が動いたとき 〜 時計修理のこと

心が動いたとき 〜 時計修理のこと

日々のこと

⌚🛠️今日はちょっと素敵なエピソードを聞けたので修理をお受けすることにした😉

時計を修理で持ち込まれたのは所有者の息子さんで、以前から、素性の良い貴重で高価な時計ばかりを持ち込み修理を依頼されるお客さんです。

今日はいつになく神妙な面持ちで話しづらそうに、時計を紙袋の中から出し、僕の作業台の上にそっと置かれました。

話を詳しく伺うと、この時計はお父さんの持ち物ということで、昔、お金に困っていた恩人から、○セモノとわかっていて黙って買い取ってあげたものらしい。

その恩人は時計を本物と信じていただろうなと、それを黙って買い取ってあげるお父さんと恩人の信頼関係と絆の深さ。

恩人は20年くらい前にすでに他界されていて、命日の度に、共通の友人たちが集い酒を酌み交わし、お世話になった恩人の話に花を咲かすそうです。

恩人は沢山の人にお世話したんだろうな… なんて僕の勝手な妄想。。

そして、その命日の日だけ、この時計を金庫から引っ張り出して大事そうに腕に付けいるお父さんの姿を、息子さんは解ってあげている。

その時計がとうとう動かなくなってしまって、修理で持ち込まれたという経緯なのでした。

なんかええ話過ぎて、ちょっとジンときてしまいました…

修理に値するのかどうかは、本物か○セモノかで判断するのではなく、あなたにとってその時計をどれだけ大事にしたいか、どのような想い出があるか。

A&Oは総じて機械時計としての修理工賃を頂いてます。

あとは、技術的に修理可能で、オーナーである僕の心が動けば修理依頼をお受けしています。