チュードルビッグローズの修理 風防交換 ベゼル亀裂

チュードルビッグローズの修理 風防交換 ベゼル亀裂

日々のこと

今回はチュードルの修理依頼。症状は主にベゼルリングの亀裂。放っておくと水が進入して内部が浸水したり錆びてさらに悪化を招きます。

何故、亀裂が生じたのか? 診断してみるとケースに対して風防のサイズが大きくて微妙に合ってません。どうやら以前修理を施した職人がアフターマーケット(社外製、OEM)の風防を宛てがっているようなのですが、きちんとサイズ合わせしていないのでベゼルリングもケース本体に密着しておらず隙間だらけ。

対応策として、1950年代の時計なので外装部品はおそらく探すのが大変だし見付からないかもしれない。代替案として最悪でも、ベゼルリングはロウ付けして修理で対応きると思います。風防は無理矢理押し込んだせいで縁に亀裂も生じてますので交換が必要です。クライアントの了承をいただき、アフターマーケットのプラ風防を調整して合わせる方法で提案。若干部品代も安くなります。

今回はあきらかに人災なのですが、A&Oでも純正部品が手配できなかったり、お客様の予算の都合でアフターマーケット部品を使うこともあります。 ただ、アフターマーケットが純正と寸分違いなく精巧に作られているかというと、そうでもない物が少なくない。そんなときは、こちらで結局削り直したり微調整してサイズを合わせていきます。

時計技師学校を卒業したばかりの技術者は、学校ではサイズ調整済みの部品ばかり触らされるから、こういう現場対応に馴れていないことが多いです。今回もそんな個体だったのかも???