「ヴィエンナクロックの歴史」 Part1

「ヴィエンナクロックの歴史」 Part1

新着商品

久々に秀逸なレンツキルヒ社のヴィエンナクロックが入荷しました。ハイエンドラインで製作されたクォーターストライク式でたいへん良い音色がします。探していた方是非ご検討下さいね。

http://aando-since1993.net/?pid=138459528

僕が時計技師ということで、この仕事を始めたときから、かれこれ20年くらい取り扱いしてるヴィエンナクロック。あまり深く語ってこなかったので、ここで簡単におさらいしておきます。

このような振り子時計をヴィエンナクロックといいます。 直訳すると、Vienna Clock = ウィーン時計 という意味になるのですが、その発祥の由来は2説あります。1つは、楽器造りが盛んだったウィーンでオルゴール職人が時計を作ったのが始まりとされる説。もう1つは、18世紀初頭から時計作りが盛んなドイツの「シュヴァルツヴァルト地方=黒い森という意味」で作られた時計が楽器のような美しい音色を奏でるということで音楽の街ウィーンにちなんだという説があります。どちらにしても、19世紀中頃~20世紀初頭のドイツ圏(プロイセン王国、ザクセン王国)で盛んに作られていた振り子時計なのです。

日本ではちょうど明治新政府の頃で、当時庶民にとって時計はまだ高価な代物で普及しておらず、「丑三つ時=午前2時~2時30分」というようにざっくりとした感覚しかなく、現代の真面目な印象の日本人からは想像できないほど、時間にたいへんルーズな生活だったそうです。

新政府は銀座で輸入商を営んでいた服部金太郎に依頼し、ドイツからサンプルで取り寄せたヴィエンナクロックを、王政復古政策の一環だった「神仏分離」によって職を失っていた宮大工たちを集めて見よう見真似でケースを作らせて、ヴィエンナクロック中身の機械部分だけを輸入して組み込んだのが和製振り子時計の始まりとされています。服部金太郎は、後に服部時計店として会社化し、これが今日のSEIKOに発展していきます。

こんなに格好いい時計なのですが、弊社は日本で唯一の専門店になってしまいました・・ 日本が景気の良い頃はごく少量輸入されていたディーラーもいたそうですが、時計の知識に乏しかったのか扱いに困ってやめていったんでしょうね。 ヴィエンナクロックに限らず機械式時計のメンテナンス、修理のことは弊社A&Oで承っています。

「ヴィエンナクロックの歴史」 続きはまた今度書きますね。