パテック・フィリップ社の腕時計は、どうしてそんなに高いのか?

創業180年近い歴史を持ち,『世界一の時計メーカー』と言われるだけあって、新品だと最低でも300万円はするパテック社の腕時計。 車が買える、美味しいモノが食べられる、旅行する、マイホームの資金に、また起業資金だとか・・
そんな比較対象をする人も少なくないですが、今日はモノの値段の付け方と価値観の話をしますね。

「たかが時計に300万円、贅沢品だ。」

と表面的な心理で片づけてしまえばそれまでです。人間として成長を諦めてしまう、そう言い切っても良い。『このメーカーの素晴らしさは1冊の本にしないと伝わらない。』『いつかはパテック最後はパテック。』という言葉を残した文豪や有名人もいました。

このメーカーは1つの時計を作り上げるのに、技長をトップに6人程度のチーム編成で行い1~3年掛けて完遂させます。日数万個の時計を作ることも可能な大量生産がマジョリティーの現代社会において、全チームで1日に作り上げられるのは、わずか10数個程度。

そんな少量の製造スタイルで、トップレベルの時計技術者たちの雇用を維持し、今日まで世界一の名声を獲得しています。 数十万台売っても作るだけ赤字と言われる液晶TV業界とか、価格競争の荒波に生き残りを賭ける仕事をしているような人にはパテック社のスタイルは不思議な存在なのかもしれません。

では、もう少し紐解いていきましょう。

パテック自社製品には、かならず『アーカイヴ』(製造履歴書)という一枚の紙を所有者に添付発行します。本物か偽物かというようなギャランティーカードの概念とは違って、時計のモデル名に始まり、製造年月日、素材、外見の様式、キャリバー型式、最初に登記された所有者名と購入した日付け、云々が創業当初より記録され原本が本社で厳重に保管さています。それは時計を作成したチームスタッフ、社内でも一部の人間しか閲覧が許されていません。 ケースとムーブメントのシリアルナンバーが整合すれば再発行もしてくれます。

自社で作った時計であれば、よほどの事がない限りは修理を受け付けてくれます。 後年社外の何者かが手を加えてしまってるだとか、製造当初とパーツが違うとか、そういう理由で修理を断ったりもしませんし、所有者に許可無くパーツを交換することもありません。

このスタイルは創業当時から全く変えておらず、戦争や大不況でどんなに廃業の危機に立たされても貫き通してきています。 今日では、パテック社の物作りをリスペクトして類似したスタイルを確立させようとしているメーカーも少なくない。 それをこのメーカーのように200年貫き通せるなら素晴らしいことです。

『父から子へ』

パテック社が掲げ続けるこのコンセプトは、デフレで物余りで壊れれば廃棄されていく現代の物作りに真っ向から異を唱えています。

300万円で出来ること、考えることは人それぞれで、選択肢は沢山あった方が楽しい。

ただ最後に言わせて欲しい・・ このメーカーの精神に導かれ、稀少な選択肢の扉を開いた人間は崇高であると。⌚

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