OMEGA
オメガ
創業 1848~
スイス・ビエンヌ

 

ルイ・ブラン


ルイ=ポール・ブラン


セザール・ブラン

 
 

社名の由来になった

ムーブメント「Ω」(1909年製)

 

1999年、新機構「コーアクシャル」は、

時計業界に衝撃を与えた。

(左側、右は通常)

 

 

 

 

 

 

 

オメガ(OMEGA、Ω)は、世界的に有名なスイスの高級腕時計メーカーである。現在はスウォッチ・グループに属している。
日本で古くから知られるオメガの創業は1848年に遡る。スイス時産産業の中心地として名高いジュラ山脈のラ・ショー・ド・フォンに時計師ルイ・ブランが創設した工房が始まりである。 1880年には、現在本社が置かれるビエンヌの街に工場を設立して本格時計メーカーへと転換を図り、1889年には年間10万個を生産するスイス最大手へと成長した。
1894年には伝説の高性能ムーブメントが発表される。 この新型ムーブメントは、「究極」という意味を込め、ギリシア語のアルファベットの最後に登場する「Ω(Omega)」と名付けられた。 「オメガ」ブランドの誕生である。 1903年、それまで使われていたルイ・ブラン兄弟会社に変わり、「オメガ」が正式に社名になった。
 
20世紀前半のオメガは、天文台の精度コンクールで数々の新記録を樹立したり、また1932年のオリンピック・ロサンゼルス大会以来公式計時を務めるなどして、「精密時計のオメガ」という名声を確立した。 1940年代終わりから1950年代の半ばにかけては、現代のコレクションに受け継がれる傑作腕時計が続々と開発される。 画期的な防水設計の「シーマスター」、天文台コンクールでの優秀な成績を象徴する「コンステレーション」、回転ベゼルを備えたプロフェッショナル・ダイバーズウォッチ「シーマスター300」、クロノグラフの古典的モデル「スピードマスター」などである。
 
オメガの数ある傑作の中で永遠に語り継がれる伝説を残したのが、「ムーンウォッチ」の愛称で知られる「スピードマスター・プロフェッショナル」である。 1969年7月21日午前2時56分GMT、人類が初めて月に降り立ったこの時に、アポロ11号の宇宙飛行士が着けていたのがこの腕時計であった。
「スピードマスター」の初代モデルは、1957年に作られた。 ムーブメントは精度と信頼性に定評のある手巻きのキャリバー1861を搭載し、60秒・30分・12時間の3カウンターを備える標準的なクロノグラフである。 この腕時計がアポロ計画を推進していたNASA(アメリカ航空宇宙局)の装備担当官の目に留まった。 さまざまなメーカーのクロノグラフを揃え、過酷な宇宙環境をシミュレーションした11項目に及ぶ厳格なテストを行った結果、唯一パスしたのが「スピードマスター」だった。 しかもそれは、テストに備えて特別に仕様を変更したものではなく、店頭で売られている市販品だった。 日常的な用途の市販品であっても宇宙で通用する高性能時計を製造していたことが、オメガの並外れて優秀な時計技術をみごとに証明したのである。
こうして1965年にNASAに公式採用されて以来、人類初の月面着陸をはじめ、数々の有人宇宙ミッションで活躍した「スピードマスター」は、プロの使用に耐える精密時計という意味でやがて製品名に「プロフェッショナル」が加えられ、現在も当時の手巻きクロノグラフ・ムーブメントとデザインを採用して生産が続けられている。 宇宙飛行士たちが実際に使い、今なおNASAの公式装備品になっている。
 


  • 1848年6月 - 23歳のルイ・ブラン(Louis Brandt )がラ・ショー=ド=フォンにて懐中時計の組み立て工房を開いた。
  • 1877年 - ルイ・ブランの息子ルイ=ポール・ブラン(Louis-Paul Brandt )が"Louis Brandt & Fils"設立。
  • 1879年 - ルイ・ブランが死去、セザール・ブラン(César Brandt )が経営に参加した。
  • 1882年 - 本社を現在地のビールに移転。
  • 1894年 - 有名なキャリバー「オメガ」を製作、後にこれをメーカー名とした。
  • 1903年 - ルイ=ポールとセザールが亡くなるとポール=エミーユ・ブラン(Paul-Emile Brandt )が後を継いだ。
  • 1930年 - ティソ等とSSIHグループを結成する。
  • 1965年 - 「スピードマスター」がアメリカ航空宇宙局の公式腕時計として採用され、その耐久性の高さを世に知らしめた。
  • 1980年 - 日本企業のセイコーによる買収騒動が持ち上がりスイスの国会で騒動と成る
  • 1983年 - ASUAGグループ(ロンジン等)と合併し、スウォッチグループの前身であるSMHグループを結成する。
  • 1999年 - 独立時計師のジョージ・ダニエルズが開発した「コーアクシャル」と呼ばれる新機構を採用し、腕時計界に衝撃を与えた。機械式時計の心臓部である調速機構との動力伝達を果たす、脱進機機構(アンクル爪、ガンギ歯)における摩擦を大幅に低減し、約10年間オーバーホールなしでも精度を保つことができる。

Speedmaster
スピードマスター
1957年~

 

NASA公式認定のクロノグラフ 「スピードマスター」

スピードマスター(Speedmaster )の原型は「シーマスター」に手巻きのキャリバー321を搭載した「シーマスター・クロノグラフ」であり、裏蓋のシーホースにその名残を伺うことができる。1957年に「スピードマスター」となった。 アメリカ航空宇宙局採用を機に1966年「スピードマスター・プロフェッショナル」と改名し、1968年には機械がキャリバー861に変更された。 1997年には機械がキャリバー1861に変更され、現在でも市販されている。堅固なモデルとして知られるが、多重ケースによってショックを吸収できることと、自動巻き機構や日付表示が搭載されない等クロノグラフとしては機構が非常にシンプルであることによると考えられる。無重力状態でガラスが破損し空間に破片が飛び散ることを防ぐためにプラスティック製の防風を採用している。防風がプラスティック製であることと、竜頭とプッシュの構造上、防水性はほとんど期待できない。近年100m防水となっているブロード・アローも同様である。機械はアルベール・ピゲ設計のヌーベル・レマニア製。
 
後にエタ製またはフレデリック・ピゲ製自動巻きムーブメントが搭載され「プロフェッショナル」より一回り小振りな「スピードマスター・オートマチック」が追加された。 またアメリカ航空宇宙局と共同開発したクォーツ式「スピードマスター・プロフェッショナル・モデルX-33」も発売されている。
 
「プロフェッショナル」・「オートマチック」ともに非常に限定モデルが多い。 「プロフェッショナル」の場合、誕生した年より何十周年か経過すると「○○周年記念モデル」、各ロケット、スペースシャトルの打ち上げた年より何十周年か経過すると「○○(シャトル名)号○○周年記念」、変わったところでは「スヌーピー」「銀河鉄道999」等とコラボレートしたモデルも存在する。 「オートマチック」の場合、下記の「M・シューマッハモデル」や「マルイ限定モデル」等が存在する。
 
2007年には誕生50周年を記念して1stモデルを復刻したが、ムーブメントも初期のキャリバー321を忠実に再現したものとなっている。 また、この年はチャリティーオークションにてデッドストックかつスウォッチ・グループの保証付きの1stモデルを出品している。
 
1965年にアメリカ航空宇宙局は宇宙空間でも使用に耐える腕時計を選定するため時計店の店頭で各社各種の時計を購入して耐熱性、耐寒性、耐衝撃性など様々な試験を行ない、この結果「スピードマスター」のみが合格したため「スピードマスター」はアメリカ航空宇宙局の公認クロノグラフとなった。
 
アメリカ航空宇宙局がスピードマスターを選定したと発表があった後、代々の重役を国防省からの天下りで構成していた当時のアメリカ大手時計メーカーであったブローバより「国家的プロジェクトにはアメリカ製品を使うべきではないか」とのクレームが入り、ブローバの技術陣が特別に1つのみ製作したクロノグラフとスピードマスターによる再選定を行ったが、結果はスピードマスターの勝利であった。 なおも食い下がる元海軍提督のブローバ社長に対し選定委員は「あなたの会社の製品ではアメリカの威信を守ることは出来ません」と選定終了を宣言している。 しかし当初は無重力下で通常の機械式時計がどう動作するか分からなかったため、コクピットクロックは音叉によって制御されるブローバ製の電気時計「アキュトロン」が採用された。
 
アポロ計画でも使用され、1969年には月面に降り立った最初の腕時計という栄誉を獲得、それ以後裏蓋には "FIRST WATCH WORN ON THE MOON" の文字が刻まれている。 1970年アポロ13号が月に向かう途中で酸素タンクが爆発するという大事故に遭遇し航法用コンピュータが使用不能になったが「スピードマスター」を用いてロケット噴射時間の制御を行い全員無事生還を果たしたこと[7]でさらなる信頼を得た。 また、スペースシャトル計画の船外活動時において、この機種以外の使用は認められていない。 ただし1971年アポロ15号による月面探査の際には宇宙飛行士デイヴィッド・スコットはNASAの使用規則を守らずウォルサムの時計を使用した。 その他、オメガはブローバの音叉ムーブメントキャリバー1255を搭載したモデル「スピードマスター・スピードソニック」を1973年に、「スピードソニック・クロノメーター」を1975年に販売している。
 
日本の特撮ヒーロー番組『ウルトラセブン』に登場する地球防衛軍の精鋭部隊ウルトラ警備隊の隊員に正式採用されている描写がある。
 
F1ドライバーのミハエル・シューマッハが以前からオメガの大ファンであることをテレビ番組で知ったオメガの社員が彼に個人スポンサーのオファーをし、契約された。    その後もシューマッハはスピードマスターを愛用しているだけでなく、現役時代には勿論、引退後(2010年より復帰)もその偉業を称えて記念限定モデルがリリースされている。










 

取材協力